身延山大学法要における岸野駐ラオス日本国大使挨拶(要旨)
2014.02.17



○本日この様な形でルアンパバーンの地元関係者の皆様と交流・対話の機会を持つことが出来、嬉しく思う。準備に当たられた身延山大学のイニシアティブと努力を評価する。ヴィスンナラート寺院の僧侶の皆様、及び出席されている地元関係者に感謝したい。お互いを知り合うことを通じ、また読経を通して、相互の理解が進むのではないかと思う。相互理解は交流や協力関係を進める上での前提条件である。また、わざわざお運び頂いた情報文化観光省のブンサノン美術工芸局長にも謝意を表明したい。

○私自身、ルアンパバーンへの訪問は、昨年11月に続き、二度目である。ここは、周囲を山に囲まれた緑豊かな環境の中で、二つの川が合流する景観の地に位置する、歴史と文化に彩られたユネスコ世界遺産の街である。その美しい佇まいの街並みを目の当たりにする度に心が和み、何度来てもまた戻ってきたいと思う街である。皆様には、是非この街の良さを長きに亘って守って頂きたい。歴史、文化、自然、環境がキーワードである。日本としても、そのような皆様方の努力を支援していきたい。

○昨日、カムペーン知事を表敬し、日本とラオスとの緊密な二国間関係、日本とルアンパバーンとの関係について率直な意見交換を行った。
日本は、ルアンパバーン県において、環境分野を中心に幾つかODA案件を行ってきている。2004年から継続している住民参加型の森林管理プロジェクト、2010年以降実施中の河岸浸食対策のための技術協力、及び環境管理のためのJICA・ASEAN連携パイロットプロジェクト等がこの中に含まれる。来月には、廃棄物管理施設とゴミ収集車供与を組み合わせた、無償協力のE/N署名式を行う予定である。
また、ルアンパバーン県では、教育・保健医療分野を中心に、これまで計21件の草の根無償(計130万ドル)を実施してきた。来週、このスキームを使い、ポンサイ郡のファイキーン中学校校舎建て替えプロジェクトに関する取り決めの署名式を予定している。

○同時に、日本とルアンパバーンの関係は、市民団体による活動や草の根ベルでの人と人の交流によっても支えられてきている。
第一に、年間5万人弱の日本人観光客がラオスを訪問しているが、その多くはルアンパバーンにも足を運び、この街の歴史、文化、伝統工芸等を堪能している。これは、地元経済に貢献し、国民同士の相互理解の増進に資するものである。嘗て日本は、ルアンパバーン国立博物館の文化財保護のため、文化無償スキームにより約30万ドルの機材供与を行ったが、これは観光振興に寄与する。
第二に、市民団体の活動も活発である。シャンティ国際ボランティア会は、10年以上に亘りルアンパバーン県の教育分野で支援を行ってきている。同団体は、本年7月から4年弱に亘り、計67百万円を投入しヴィエンカム郡で少数民族の子供たちに対する教育の質向上の為のプログラムを実施する計画である。また、Friends without a Borderは、昨年10月、当地で小児病院の建設に着手した。完成後は、この県における小児医療の向上に貢献すると共に、ラオス側人材育成に取り組む方針であり、その為、今後10年間に亘り毎年100万ドルを投入する計画と承知している。

○身延山大学もこの様な市民団体のひとつである。同大学は、ルアンパバーンで2001年から今日まで、仏像の修復・保存プロジェクトに取り組んできている。身延山大学は、まず当地にある36の寺院で調査を行い、1174体の仏像基本台帳の登録作業を行った後、順次修復作業を進めてきている。この過程で、仏像保全のための啓もう活動や、ラオス人の修復技術者育成への取り組みも行っている。

○在ラオス日本大使館もこのような取り組みを評価している。2011年度草の根文化無償(6万ドル弱)を活用し、ルアンパバーン工芸高校に仏像修復にも資する諸機材を供与し、仏像保管用倉庫の建設を支援した。これは、身延山大学が行っている仏像修復プロジェクトを側面から支援するためのものである。近々、身延山大学の技術者が来訪し、これら諸機材のチューニングを行い、機材の利用や維持管理について技術指導が行われると理解している。これを通じて仏像修復・保存プロジェクトが今後加速化されることを期待している。

○ところで、身延山大学の仏像修復・保全プロジェクトが円滑に進むためには、地元政府や住民の理解と協力が不可欠であることは言うまでもない。本日のこの対話・交流の場がその為の一助となることを心より願っている。
本日ご出席の皆さんに改めて感謝の意を表明するとともに、日本とルアンパバーンの関係がより一層強化されることを祈念し、私の挨拶と致したい。