平成24年5月29日
在ラオス日本国大使館

 大使館からのお知らせ(第14回海外邦人安全対策連絡協議会報告)

5月22日,当館において第10回海外邦人安全対策連絡協議会が開催されましたので,その内容につきご連絡いたします。皆様の安全のためにご活用頂ければ幸甚です。

  1. ラオスにおける薬物問題
    大使館より,5月3日に大使館において開催された非公式ミニ・ダブリン会合において議論されたラオスにおける薬物問題について,次の通り紹介しました。 ラオスは,1990年代よりアヘン撲滅に取り組み,2006年には一旦アヘン撲滅宣言を行った。この間,ケシ栽培地域は,27,000haから1,500haに,アヘン中毒患者は6.3万人から1.2万人に減少している。
    しかしながら,同宣言以降,ラオスを含む周辺国においてケシの栽培面積は,年々増加しており,ラオスにおいては,2010年の3,000haから2011年の4,100haに増加しており,これに伴い,薬物中毒者や不正取引摘発者が大幅に増えている。
    近年,アヘンの国際価格が上昇しており,ラオスにおいてもケシ栽培面積の増大が懸念される状況である。また,都市部では覚醒剤の使用も増加している。
  2. 最新の治安情勢
    大使館がまとめた最新のラオスの治安情勢は次の通りです。

    (1)治安情勢概要
    現在のところ,政治情勢は安定しており,暴動や都市部におけるテロ等が発生する状況にはない。しかしながら,一部の地域では,いまだに反政府勢力が活発に活動し政府軍と激しい衝突を繰り返している。また経済格差や禁止薬物の蔓延などに起因する一般犯罪(特に屋内外を問わない窃盗事件)には注意が必要で,さらに銃器を使用した強盗殺人・強盗致傷事件が続発するなど,一般犯罪は増加・凶悪化傾向にある。

    (2)反政府勢力情勢 今年も反政府勢力モン族とラオス政府軍との衝突は続いており、シェンクワン県周辺の中部山岳地帯を中心に発生している模様。具体的には,第5ナムグムダム周辺(ルアンパバーン県とシェンクワン県の県境付近),プービア山(シェンクワン県南付近)での衝突が発生している模様。

    (3)一般犯罪情勢

    (イ)刑法犯認知件数(全国)
    2011年にラオス全国で発生した刑法犯認知総件数は、3,411件(前年比838件増)で、そのうち約31パーセントの1,059件が窃盗事件。
    (ロ)刑法犯認知件数(ビエンチャン特別市)
    ビエンチャン特別市での発生件数は2,558件(前年比1,292件増)であり、全国での発生件数の実に約75パーセントを占めている。
    (ハ)強盗(ビエンチャン特別市)
    大使館の手集計による犯罪統計では、ビエンチャン特別市においては、2010年中34件であった強盗事件が、2011年は82件の発生が報告されており強盗事件が激増している。
       (ニ)ひったくり
    ルアンパバーンで邦人旅行者のひったくりの被害が報告されている。また,ビエンチャンでは信号待ちをしている車両の助手席ドアを開け、座席上に置いてある荷物等を奪う新たな手口が流行っている。
    (ホ)薬物関連
    ラオス全国における2011年中の麻薬関連事案の統計は下記のとおり。
    検挙件数  972件(前年比457件増,約49パーセント増)
    検挙者数  1,512名(うち女性 304名、外国人45名)
      押収薬物
    ・覚醒剤  3,644,036錠(上半期の統計439.61㎏)
    ・ ヘロイン     82.50㎏
    ・ 阿片       32.10㎏
    ・ 大麻    1,235.15㎏
    ラオスにおいては薬物が、他の一般犯罪の主要因と考えられており、外国人観光客についても使用頻度が高いと噂されている。

    (4)交通事故の現状
    ビエンチャン特別市の2011年中における交通事故に関する統計は、次の通り。
    交通事故総数 2,063件
    負傷者数   3,585名
    死亡者数     206名
    破損車両数  5,008台

  3. 平成23年度における邦人援護案件
    平成23年度に大使館が対応した邦人援護件数及び案件は次の通りです。在留邦人の皆様におかれては,以下の被害例をご参考の上,同様の被害に遭わないよう注意してください。
  4. (1)強盗(2件)
    昨年,当地において,邦人旅行者が睡眠薬強盗の被害に遭った。メコン川沿いのホテルの前で声をかけられたトゥクトゥクの運転手にレストランに連れて行かれ,そこで睡眠薬入りの飲み物を飲まされ,気づいた時には金品をすべて盗まれた上で,路上に放置されていた。

    (2)ひったくり(4件)
    ひったくりの多くは,バイクに乗った二人組による犯行。メコン川近くで写真撮影中に日本語で話しかけられ,鞄をひったくられる事案もあり。最近,ルアンパバーンでも連続で2件発生している。

    (3)置き引き(4件)
    バスターミナル,レストラン,カフェ,ゲストハウスで邦人旅行者が被害に遭っている。

    (4)詐欺(3件)
    スポット情報でも注意を呼びかけているクレジット・カード詐欺に邦人旅行者が被害に遭っている。

    (5)ぼったくり被害(1件)
    邦人旅行者がタクシー運転手によるぼったくり被害に遭った。

    (6)空き巣・忍び込み被害(4件)
    夜間,就寝中に自宅の洗濯機が盗まれる,警備員によって自宅にあった金品が盗まれるなどの被害。

    (7)交通事故(6件)
    うち1件は,死亡事故。

    (8)水難事故(1件)
    雨期にバンビエンのソン川で水泳中に鉄砲水に飲み込まれる事故が発生。過去にも同様の水難事故が起こっており,これから雨期を迎えるにあたり,注意が必要。

  5. 予防接種について
    大使館より,次の通り,予防接種関連の情報提供を行いました。 海外に滞在する場合,その地域で流行している感染症への予防対策として,予防接種を受けるのが望ましい。ワクチン接種を検討する時には、滞在場所、滞在期間、行動形態、渡航までの準備期間などを考慮する必要がある。ワクチンは種類によって接種回数が異なり、複数回接種しないと十分な免疫が得られないワクチンもある。日本では次のワクチン接種まで生ワクチンは27日以上、不活化ワクチンやトキソイドは6日以上間隔を空ける必要がある(ただし同じワクチンを複数回接種する場合には、そのワクチンの適切な間隔で接種する必要がある)。ワクチン接種を計画する場合には接種医療機関の主治医とよく相談して、スケジュールを立てることをお勧めする。

    (1)当地滞在で接種が望ましいワクチン
    成人:A型肝炎、B型肝炎、破傷風、日本脳炎、腸チフス(日本では未承認)、狂犬病、インフルエンザ
    小児:日本の定期予防接種、A型肝炎(日本では16歳以上承認)、B型肝炎、その他の日本の任意予防接種、腸チフス(日本では未承認)、狂犬病、インフルエンザ
    当地でも外国人の利用が多いクリニックやタイ・ノンカイ、ウドンタニの病院等で上記のワクチン接種が可能だが、日本と接種方法や間隔が異なるものがある。

    (2)小児の定期および任意予防接種ワクチン
    日本では定期予防接種(BCG、DPT、ポリオ、MR(麻疹風疹混合)、日本脳炎)に加え、ここ数年新たに承認された任意予防接種が増えてきた。効率よくワクチン接種を行う上でも、ワクチン計画を立てることは重要。当地でも外国人がよく利用するクリニックやノンカイ・ウドンタニなどの医療機関では、日本の定期および任意に当たるほとんどのワクチン接種は可能だが、日本とワクチンの種類や接種方法が異なるものがあり以下のことに注意が必要。

    (イ)DPTワクチンは当地では主に5種または6種混合ワクチン(DPT+ヒブ+ポリオまたはB型肝炎など)として接種されている。当地でDPTのみ、ヒブ単独ワクチンの接種は困難な場合があり在庫の確認が必要。MRワクチンは主にMMR(麻疹おたふくかぜ風疹混合)ワクチンにより接種している。

    (ロ)ワクチン接種方法や回数、接種対象年齢が日本と異なるところがある。
    特に日本と当地の両方で小児定期および任意ワクチン接種を予定する場合、ワクチンの違いを考慮して計画する必要がある。それぞれの医療機関で相談することが大切であるが、その際母子手帳などワクチン接種記録を忘れないこと。また、ワクチン在庫は流動的であるため,受診前には医療機関に在庫の有無を確認することをお勧めする。