大使館からのお知らせ(第15回海外邦人安全対策連絡協議会報告) |
12月14日,当館において,第15回海外邦人安全対策連絡協議会が開催されましたので,その内容につきお知らせいたします。皆様の安全のためにご活用頂ければ幸甚です。
1.最新の治安情勢
大使館がまとめた最新のラオスの治安情勢は次の通りです。
(1)反体制勢力情勢
本年7月には,シェンクワン県ポンサワン市内で反政府活動の計画があった模様ですが,警察と政府軍により計画は未然に阻止されたとのことです。
これにより,ポンサワン市内ではしばらくの間,夜10時以降の外出禁止令が発出されましたが,現在は外出禁止令も解除され,市内の状況は安定している模様です。
(2)一般犯罪情勢
(イ)ひったくり
ビエンチャン市内では,ひったくりが頻発しています。今年,最も多くひったくりが発生している地区は,サイセッタ郡,シーサタナック郡となっております。パクグム郡,サイトーン郡,ナーサイトン郡での発生はほとんど報告されていませんが注意は必要です。発生時間帯は早朝若しくは夕方から深夜にかけて多く発生しているようです。
ひったくり犯が拳銃などの凶器を所持していることも多く,被害者が抵抗したため事後強盗(強盗殺人)に発展するケースもあります。防犯対策は確実に実行していただきたいと思いますが,いざ犯罪に遭遇してしまった場合は無抵抗主義を心がけてください。
ひったくりとは異なる手口による窃盗犯罪としては,最近のビエンチャンでは,信号待ちをしている車両の助手席若しくは後部座席ドアを開け,座席上に置いてある荷物等を奪う新たな手口が流行っています。信号待ちをしている車両の運転手に拳銃を突きつけて、車内の所持品を奪うなど、白昼堂々と強盗されたケースも報告されています。車両に乗車の際は,ドアロックをするように心がけましょう。
(ロ)薬物関連
ラオスにおいては,薬物の蔓延が深刻な事態となっています。ビエンチャンでは,セタティラート通りに面したワット・ミーサイ付近で客待ちをしているトゥクトゥクのドライバーのほとんどが薬物の販売をしているとの情報もあります。
ビニール袋入り大麻約10グラムで10万~15万キープ,覚醒剤1錠で1万5千~2万キープで取引されており,極めて安価で手に入ります。麻薬関連の犯罪は再犯率も高く,1度薬物に手を染めると更正が非常に難しい犯罪と言われていますので,十分な注意が必要です。
ラオス全国における2011年中の麻薬関連事案の統計は下記のとおりです。
検挙件数 972件(前年比457件増,約49パーセント増)
検挙者数 1,512名(うち女性 304名、外国人45名)
押収薬物
覚醒剤 3,644,036錠(上半期の統計439.61キログラム)
ヘロイン 82.50キログラム
阿片 32.10キログラム
大麻 1,235.15キログラム
(ハ)窃盗
一般家庭に対する空き巣などの屋内盗に加え,最近は工場の作業員等による業務上横領まがいの窃盗や,使用人や警備員による窃盗など,身内による犯行も増えています。
工場の作業員による窃盗では,現金ではなく,事務機器や備品,商品,材料等を盗むケースが散見されます。使用人等による窃盗では,無施錠で手の届くところに現金や貴重品を放置して,家主の目を盗んで犯行に及ぶケースがあります。
在留邦人にとって治安情報に接する機会は少ないと思いますので,在留期間が長くなるにつれて,防犯に対する意識の低下が生じ,犯罪を呼び込んでしまうケースがあるように感じます。
いずれの犯行も,鍵の管理や貴重品の保管場所を見直すことで,被害を未然に防止することが可能だと思いますので,日頃の行動を見直すとともに,もう一度,自宅や職場の環境を再確認して,窓に格子が入っているか,1つのドアに鍵が2つ以上かかっているか,鍵が劣化して施錠できないなどの不備はないか等基礎的な防犯対策について再度点検してみて下さい。
(3)交通事故
治安維持省発行の機関誌公表による,ビエンチャン特別市の2012年上半期における交通事故に関する統計は,次の通りです。飲酒運転とスピード超過が主な事故要因となっています(( )内は2011年の発生件数)。
交通事故総数 918件(2034件)
負傷者数 1402名(3778名)
死亡者数 98名( 206名)
破損車両数 1824台(4057台)
2.緊急事態対応(平素の備え)について
大使館において,緊急事態の発生に備えた平素の備えとして,重要と思われる点を次の通りまとめました。
(1)緊急事態対応マニュアルの作成
緊急事態対応マニュアルは,緊急事態発生時の指示系統,各人の役割(情報収集,安全・安否確認,家族対応,プレス対応等),職員への伝達方法等を予め決めておくことによって,実際に緊急事態が発生した際にパニックを引き起こすことを未然に防ぐだけでなく,迅速且つ効率的な対応が期待されます。また,緊急事態対応マニュアルを作成する過程において,机上において様々なシミュレーションを行い,それによって,緊急時に備えた知識や,危機に対する高い意識を自然と身につけることが期待できるので,各企業・団体において,同マニュアルを作成してください。
(2)緊急連絡網の作成
緊急連絡網は,緊急事態発生時に職員全員に確実に連絡事項を伝達する上で,極めて重要な役割を果たすものですので,緊急事態対応マニュアルと共に作成すべきです。緊急連絡網を作成する上で注意すべき点は,定期的にアップデイトし,訓練すること。また,訓練では,電話による「伝言ゲーム」のようなことを行い,緊急連絡網が機能するか確認することが重要です。
緊急連絡網に基づき,連絡事項を伝達する上で重要なことは,早さに加えて,正確さなので,訓練を行う際には,連絡事項が緊急連絡網の最後の職員まで伝わった時間を計るだけでなく,連絡事項がきちんと伝わっているかも確認してください。
(3)避難経路,避難場所
緊急事態に備えて,予め避難経路や避難場所を決めておくことが必要ですが,単に避難経路と避難場所を決めておくのでなく,実際に避難訓練等を行い,機能するかどうかを確認しておくことも重要です。
(4)緊急品の備蓄
在外公館では,短期旅行者用の緊急時用物資は備蓄していますが,在留邦人用の緊急時用物資は備蓄しておりません。在留邦人については,各人において備蓄品を準備して頂きたく,備蓄物資については,目安として,一人約10日間~2週間,生活できるだけの水と食糧を備蓄しておくことが望ましいです。
(5)在留届の提出及び提出内容のアップデイト
在外公館では,緊急事態発生時に在留届をもとに邦人の所在・安否確認作業を行うことになりますが,在留届の情報がアップデイトされていなければ,右作業を円滑に行うことができません。
当地着任後,一時滞在中のホテルや職場を居所として在留届を提出したものの,住居が決まった後,変更届を提出しない方や,単身で赴任し,後に家族を呼び寄せたにもかかわらず変更届(家族の追加)を行わない方が散見されますので,住所が決まったら,変更届を提出するよう励行願います。
3.医療情報
11月に大使館に新しく着任した荻原医務官より,以下の医療機関の情報を提供しました。
本年,ウドンタニのパンニャベート病院がタイ私立病院のバンコクジェネラル病院グループとなり,名称がバンコクジェネラル病院ウドンと変更されました。今般,同病院は,代々的に改修を行い,医療レベルもアップしたのを記念し,12月12日に開院式が行われ、それに荻原医務官が参加し,病院視察も行いました。
同病院では既にICUを稼働させていますが、CCUは稼働させておらず,腎臓透析も来年4月頃開始する予定です。このため,フル稼働になるまで半年から1年程度要する見込みです。同病院としては,バンコクにあるバンコクジェネラル病院との連携が確立していることがセールスポイントで、将来的にはヘリポートを完備して,重症患者をバンコクに搬送するシステムを確立させたいとのことです。
同病院では,当地からウドンタニへの救急車による搬送サービスも行っており,12月3日に当地において重症患者をウドンタニに搬送する必要が生じたため,この病院に電話して,この救急車による搬送を依頼しましたところ,救急車は,電話による依頼の約3時間後,英語を話せる医師と共に到着しました。救急車は新しく,医療機材も揃っており,また,翌日、同病院の担当医より,患者の病状説明もあり,サービスは良好であるとの印象を受けました。ただし,同病院の医療レベルについては,未知数なので,今後さらなる調査が必要と思われます。
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(c) Embassy of Japan in the Lao PDR
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