平成25年6月11日
在ラオス日本国大使館

  大使館からのお知らせ(第17回海外邦人安全対策連絡協議会報告)

 6月5日、当館において、第17回海外邦人安全対策連絡協議会を開催しましたので、右会議の内容につきご参考までにお知らせします。皆様の安全対策のためにご活用頂ければ幸甚です。

1.最近の治安情勢について
(1)現在のところ、政治情勢は安定しており、暴動や都市部におけるテロ等が発生する状況にはありませんが、強盗や殺人などの一般犯罪は凶悪化の傾向にあります。
(2)今年も反政府勢力モン族とラオス政府軍との衝突は続いており、シェンクワン県周辺の中部山岳地帯を中心に発生している模様ですが、この1~2ヶ月くらいは静まっているようです。
(3)2012年中の全国で発生した刑法犯認知件数は、3,261件(前年比150件減少)で、ビエンチャン特別市で発生した刑法犯認知件数は、989件(前年比1569件減少)となっています。首都圏での犯罪発生がかなり減少しています。
(4)ひったくりが頻発しており、今年は邦人被害者が未遂も含めて5件報告されています。
発生場所は、ビエンチャン市の中心部やタナレーン駅前、カイソーン通りなど広く分布しています。
(5)ラオス全国における2012年中の麻薬関連事案の統計は下記のとおりです。
 ○ 検挙件数  1,303件(前年比331件増加)
 ○ 検挙者数  2,129名(前年比617名増加 外国人66名) 
 ○ 押収薬物
  ・ 覚醒剤  1,200万906錠(835万6,570錠増加)
  ・ ヘロイン     82.5kg(27.66kg減少)
  ・ 阿片      199.39kg(167.29kg増加)
  ・ 大麻    2,266.08kg(1030.93kg増加)
(6)3月24日、サバナケット県とベトナム・クアンチー省の国境付近において、ベトナム系ラオス人とベトナム人らのグループによる、身代金目的の誘拐事件が発生しました。被害者は国境付近で植物採取をしている業者6名で、うち5名は殺害されたということですが、犯人はそれぞれベトナム当局及びラオス当局により逮捕されたそうです。犯行場所は、タイ-ラオス-ベトナムを結ぶ東西経済回廊が建設された交通の要所となっていることから、同回廊を利用する在留邦人の方は注意が必要です。
(7)2012年中に発生した全国における交通事故に関する統計は、
 ○ 交通事故総数  6,146件(前年比396件減少)
 ○ 負傷者数   10,191名(前年比1,312名減少)
 ○ 死亡者数      888名(前年比14名減少)
となっており、ビエンチャンで発生した交通事故総数は1,644件(前年比390件減少)、死亡者数は205名(前年比1名減少)でした。統計上では減少傾向にありますが、示談や警察に報告しないケースもありますので、実際の発生件数はさらに多いと見られます。

2.平成24年度邦人援護事案について
(1)昨年度の当館における邦人援護の件数は計70件であり、過去数年間(平成22年度が54件、平成23年度が52件)と比べると増加傾向にあると言えます。
(2)一方で、昨年度においては、過去数年間に見られた睡眠薬強盗、クレジットカード詐欺被害といった悪質な犯罪に邦人の方が巻き込まれるケースや、水難事故や交通事故によって邦人の方が死亡するケースは報告されておりません。
(3)ひったくり被害は、ビエンチャン市内各地及びルアンパバーンにおいて5件報告されており、引き続き、注意を要します。
(4)空港やゲストハウスでの置き引き被害が5件、空き巣・忍び込み被害が2件、恐喝被害が1件報告されています。
(5)犯罪加害は計6件報告されていますが、夜間に屋外で治安当局や自警団の取り締まりの対象となり、トラブルが発生するケースが増えていますので、夜間の不要不急の外出は避けてください。
(6)最近、細菌やウィルスの感染によって体調を壊す邦人が増えている他、野良犬に咬まれ、狂犬病のワクチンを接種するケースも数件報告されていますので、野良犬には注意が必要です。
(7)交通事故については、死亡に至るケースはなかったものの、12件も報告されていることからも、特に交通事情・交通マナーが悪化しているビエンチャン市内では、引き続き、運転には注意を払う必要があると言えます。
(8)陸路でタイ側からラオス側に入国をする際、ラオス側の入管職員が入国スタンプを押し忘れ、その結果、ラオスに不法入国したと見なされ、罰金を支払わされるケースが3件報告されています。海外対策基礎データでも注意を呼びかけています通り、入国証印の押し忘れに気づかずに、そのまま入国してしまうと、たとえ入国管理局側の不手際であったとしても、不法入国と見なされ、罰金(100ドル~500ドル)が課せられますので、特に陸路でラオスを出入国する際には、出入国証印の押し忘れがないか必ず確認してください。

3.医療情報
(1)デング熱
 ラオスにおいて、今年のデング熱の発生件数は、例年を大幅に上回っており(約6倍)、デング熱が急激に発生した平成22年が1,623件であるのに対して、今年は現時点でその2倍以上の3,638件にも及んでいます。
 また、第17週のデータでは、ビエンチアン市内で634名の感染者数のうち、6名の死亡が確認されています。
 4月24日付の大使館からのお知らせメールでも注意を呼びかけている通り、デング熱は、蚊が媒介するウィルス性疾患なので、蚊に刺されないようにすることが重要です。
 一般的な防蚊対策としては、長袖、長ズボンを着用し、皮膚の露出を避ける、蚊に刺されそうな場所に赴く時は、防蚊スプレーをできるだけこまめに使用する、蚊取り線香や電気蚊取り器を使用するなどがあげられます。
 デング熱を媒介する蚊は、昼間(特に朝方と夕方)に活発に活動すると言われています。高熱や頭痛の症状が出た場合には、早めに医療機関で受診するようにしてください。

(2)鳥インフルエンザ
 今年に入り、カンボジア、中国、バングラデシュ、チベット、北朝鮮で鳥インフルエンザの発生が確認されており、死亡するケースも発生しています。
 予防策としては、偏らない十分な栄養、睡眠休息(免疫力の維持)、ウィルスは粘膜を介して感染するので、不用意に口、鼻、目などの粘膜部分を手で触らない、積極的に石けんによる手洗いやうがいを行う、できるだけ人混みを避ける、予防にマスクを用いた場合は速やかに処分することなどが重要です。
 発熱や咳などインフルエンザと似た症状が見られた場合には、早めに医療機関で受診するようにしてください。