海外安全対策情報(平成25年度第1四半期)

1.治安情勢及び一般犯罪の傾向
(1) 当国においては,現在までアルカーイダやイスラム過激派組織等のいわゆる国際テ ロ組織による事件は発生しておらず,右組織構成員の潜伏に関する情報も確認されていない。
治安当局は,一貫して当国内にはテロ組織,反政府集団は存在しないという見解を示しているが,中部山岳地帯を中心に一部モン族の反政府勢力と政府軍との間の衝突は,ここ数年断続して発生しており,2013年も年当初から,モン族反政府勢力と政府軍とが頻繁に衝突を繰り返し,政府軍・モン族双方に犠牲者が出ている模様である。
(2)一般犯罪については,前四半期と同程度の発生状況であるが,大使館周辺での薬物 密売が摘発されるなど,ビエンチャン特別市中心部での薬物の蔓延が懸念される。
 本年2月には,ビエンチャン市内において、ひったくり事案による邦人被害が3件発生し、ひったくり被害の増加が懸念される。2013年上半期における主な事案発生件数は、次のとおり。
ラオス全国(総件数:2,469件)
殺人     28件(検挙 19件)
強盗     68件(検挙 68件)
誘拐      3件(検挙  3件)
窃盗    803件(検挙256件)
ひったくり 136件(検挙 25件)
傷害  70件(検挙 47件)
暴力団事件  19件(検挙 18件)
詐欺     30件(検挙 20件)
ビエンチャン特別市(総件数:1,330件)
強盗     59件(検挙 59件)
窃盗    250件(検挙184件)
ひったくり 124件(検挙 51件)
詐欺     32件(検挙  不明)
発砲事案    4件(検挙  不明)
自動車荒らし  2件(検挙  不明)
火災     32件(検挙  不明)
(3)薬物関連事案について、昨年の総取り扱い件数は1,303件であり、前年比376件の増加であった。
(4) 本年上半期の交通事故件数は、次のとおりであった。
ラオス全国
  事故総数 3,170件
  負傷者数 5,394名
  死亡者数   507名
  ※前年よりやや少なめで推移している。

ビエンチャン特別市
   事故総数   820件
負傷者数 1,255名
死者数    124名
※オートバイ絡みの事故が全体の約65%を占めている。

2.殺人・強盗等凶悪犯罪の参考事例(治安当局機関紙より2012年4月~6月報道分抜粋)
(1)殺人(日時・場所・概略)
(イ)4月1日 シェンクワン県ペク郡
 牛を連れていた女性が、通りかかりの男性に連れていた牛を驚かされたことに腹を立て、悪態をついていたところ、激高した男性に銃で撃たれて殺された。
(ロ)4月6日 チャンパサック県ポントン郡
 交際していた女性の家に夜這いに行った男性が、家人に見つかり咎められたところ、激高して家人及び恋人の女性を鈍器で殴りつけた。家人は死亡、恋人は重傷を負った。
(ハ)4月11日 ビエンチャン市シコタボン郡
オートバイに乗った2名の男性は、通行人男性が身につけていた金のネックレスを強奪しようとしたところ、抵抗されたため所持していた拳銃で通行人男性を撃ち殺し金のネックレスを奪った。
(ニ)5月10日 ルアンパバーン県ゴーイ郡
  妻が浮気したことに激高した男性が、妻をナイフで突き殺し、警察に自首した。
(ホ)5月13日 サイニャブリー県シェンホン郡
男性は、日頃から仲が悪かった親戚女性と森で偶然出くわすと、ナイフを持ちだして女性を刺し殺した。
(ヘ)6月2日 ビエンチャン市チャンタブリ郡
  トンカンカム市場裏のバイク駐車場付近で、オートバイに乗った男性が、ピックアップに乗車した何者かに拳銃で銃撃され死亡した。
(ト)6月11日 チャンパサック県ポントン郡
 不治の病に悩んだ末、夫が妻を殺害し、夫は首をつって無理心中をした。
(2)強盗・強姦(日時・場所・概略)
    報道なし

3.テロ・爆弾事件発生状況
  なし

4.誘拐・脅迫事件発生状況
  なし

5.対日感情
  良好である。

6.日本企業の安全に関する諸問題
  日本企業のみならず,在留邦人や旅行者にとって,新型インフルエンザ,デング熱,狂犬病等の感染症への感染が脅威である。