大使からのご挨拶

平成29年1月9日

2016年12月天皇誕生日レセプションにおけるスピーチ

私は当地に一昨年12月に当地に着任しました。当地への任命を幸運に思っております。日々ラオスの自然,文化,伝統の豊かさ,国民性の素晴らしさを感じています。この一年間でラオス全国の3分の2の県を訪問し,ラオスの多様性を直接感じることができました。

さらに、2016年という一年をラオスで過ごせたことを幸運に思っています。今年はブンニャン国家主席の指導の下,第10回党大会が開催され,新しい体制と新しい国家開発計画が始動した重要な節目でした。ラオスは ASEAN共同体発足後初めての議長国という歴史的役割を果たし,地域の中心的プレーヤーとしての ASEANの役割を強化しました。この大きな成果に祝意を表したいと思います。

この一年は日ラオス関係にとっても画期的な年でした。日ラオス間の伝統的な友好・協力関係は,昨年の外交関係樹立60周年の機会に,戦略的パートナーシップに格上げされました。今年一年間,この言葉に期待を上回る実質が与えられたと思います。

第一に政治的対話・交流について。9月のASEAN首脳会議の機会に安倍総理が公式訪問し,トンルン首相閣下がG7伊勢志摩サミットに出席されました。さらに岸田外務大臣の二回にわたる訪問を始め,かつてない高いレベルで密度の濃い交流が幅広く行われました。

第二に経済関係について。これまで日本は、長年にわたる開発協力のパートナーとして様々な分野でラオスの発展に協力してきました。今年は、ビエンチャン上水道拡張,国道九号線橋梁改修等計4件の新規案件に総額約1兆キープの支援を表明しました。ワッタイ国際空港の拡張工事にも着工しました。

9月には安倍総理とトンルン首相が日・ラオス開発協力共同計画を発表しました。ラオスは、第8次国家経済社会開発計画(8thNSEDP)の実施を通じて 2020年までの LDC脱却という国家目標を掲げています。本共同計画は、同目標の達成に向けて両国が中期的に共同で取り組むという初めての試みです。
 
ラオスがASEAN経済統合の中で生き残るためには、「連結性」と「競争力強化」がキーワードとなります。日本は「質の高いインフラ・イニシアティブ」と「産業人材育成協力イニシアティブ」により,質の高い支援を展開して、持続的成長を促し、真の意味での発展,すなわち人々の暮らしの向上に結びつけていきます。また,ラオスは日本が世界で初めて青年海外協力隊を派遣した国です。現在61人の協力隊員と7人のシニアボランティアが,ラオスの各地方で大活躍しています。

当地で活動する日本企業は現在 135社に達しました。世界的なカメラメーカーであるニコンや総合毛髪関連事業のアデランスが、それぞれ 1000人超の従業員を当地で雇用しています。関西電力は大型水力発電所ナムニエップ1の建設を進めています。ラオスの豊かな天然資源と人材を活用した投資機会を求める企業調査団が、日本から多数来訪しています。日本からの質の高い投資は、雇用の創出と技術・ノウハウの移転により,ラオスの持続的発展に大いに貢献しています。日本は今後とも、官民を挙げて LDC脱却というラオスの国家目標達成に向けて共に行動していきます。

第三に文化・人的交流について。今年6月,JAOL主催の熊本チャリティーウォークには 1000人を超える人がイベントに参加しました。ラオスの人々の温かい気持ちに感銘を受けました。「JENESYS2016」により 340名ものラオスの若者が日本を訪問し,様々な交流を深めました。本年当地に国際交流基金アジアセンタービエンチャン事務所が開設されました。その主催で来年 1月には,当地で初めての大規模な日本映画祭が開催されます。これを皮切りに日ラオス間の文化交流が今後一層活発になることを期待しています。また、日ラオス友好のシンボルとして、香川県出身のデザイナー出淵光一氏により、象と桜をあしらった「戦略的パートナーシップ」のロゴマークを作成しました。是非皆さんに親しんで頂きたいと思います。
 
この一年間,ラオス政府の方々を始めとして,多くの皆様が本当に多忙な,特別な年を過ごされました。その結果ラオスの知名度は国際的に高まりました。日本とラオスの関係も大いに強化されました。皆様とともに大きな充実感の中で年の瀬を迎えられることを嬉しく思います。天皇陛下の 83回目の誕生日を祝い,ラオスのASEAN議長国としての成功を祝し,この成果の上に、2017年のラオスの一層の発展と日ラオス関係の一層の強化,皆様のご健康とご発展を心より祈念したいと思います。